青汁イメージ

自然がくれた素晴らしいご馳走である青汁

私は子供の頃、遠くに住んでいる祖父母宅に行くのが楽しみでした。
新幹線や電車でトータルで6時間ほどかかるので日帰りはできず、夏休みや春休みなどの長期休暇に泊りがけで行っていました。
年に1〜2回しか会えない祖父母と遊ぶことも楽しかったですし、祖母のおいしい手料理も好きでした。
そして祖父が飲んでいる青汁を一緒に飲むのも、とても好きでした。
青汁というと苦味があって飲みにくいというイメージがありますが、私が当時祖父にもらって飲んでいたのは、苦くも青臭くもなく、むしろ甘くてジュースのようなおいしさがありました。
実際祖父は、それを元気のジュースだと言って、私に飲ませてくれていました。
祖父は医師でしたから、医師が言うのだから本当に元気が出てくるジュースなのだと思って私は飲んでいました。
ある年のこと、向かい合わせで座って飲みながら、祖父が自分の過去の話をしてくれました。
私が生まれるはるか前のことですが、祖父は戦時中に軍医として船で外国に行っていました。
戦争が終わって帰国する時に、船の中で伝染病がはやりました。
伝染病患者を国内に入れるわけにはいかないということで、祖父の乗った船は帰港できず、伝染病が落ち着くまでの数ヶ月間、海上で過ごすことになりました。
多くの人が亡くなりましたし、食料も水もなく、病気と飢えとで苦しむ地獄のような数ヶ月間だったそうです。
そしてようやく陸地に戻ることができた時、祖父は道端に生えている雑草や木々の葉を、心底おいしそうだと感じたそうです。
青々としていてみずみずしくて、栄養分も豊富そうで、自然が与えてくれる素晴らしいご馳走に見えたと言っていました。
それから祖父は、野菜や野草から作られたジュースが大好きになったのです。
青汁が販売されて手軽に入手できるようになってからは、毎日朝晩欠かさず飲むようになりました。
船の中でもしもこれがあれば、多くの人が死なずにすみ、故郷に戻ることができたはずだと、悲しそうに言っていました。
この話を聞いて私は、祖父がどうして青汁を飲んでいるのか、なぜ元気のジュースと呼んでいるのかが理解できました。
単に栄養補給のためではなく、その背景には辛い思い出や、栄養豊富な緑の葉に対する畏敬の念などもあったのです。
祖父は私が成人してすぐに亡くなりましたが、私は今でもその青汁を飲み続けています。
将来私に孫ができたとしたら、その子にも祖父の体験や自然の恵みである葉の素晴らしさを話しながら、一緒に飲みたいと思っています。

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